会誌:第21巻−1号[目次]

巻頭言
臨床研究会の発展を願って東京内科医会 常任理事 柳内 嘉
講演
「新しい関節リウマチの治療」ほか
セミナー
「高血圧ガイドライン」ほか
東京内科医会第18回医学会
「パーキンソン病の電子療法と薬物療法との併用による治験例」ほか
臨床研究会
「当科にて経験した原発性アルドステロン症の1例」ほか
特集
「新医師臨床研修制度」

臨床研究会の発展を願って

東京内科医会 常任理事 柳内 嘉

東京内科医会は、昨年刊行された20周年記念誌の中で前副会長川邊先生が詳述されておられるように、今日まで多くの学術講演会・大型セミナー・研究会・研修会等を開催し、会員の医学知識の向上、生涯教育の充実に大きく貢献をしてきました。これは同先生はじめ諸先生の多年にわたるご尽力によるものであります。中でも「臨床研究会」は日常診療に直結する医学知識はもちろんのこと、最新の医学情報にも接することの出来るまことに貴重な研修会です。しかし、最近少し気懸りなことがあります.それはこの研修会に会員のご出席がやや少なくなっているのではないか、ということです。

臨床研究会は各医学部に順次お願いし、講堂・教室等を会場として現職の教授あるいは中堅の先生、新進気鋭の先生の講演・症例報告を開業医である医会会員が聴講できる研修方式をとっており、これは極めてユニークな方式です。そしてどちらの大学も実に素晴らしい講義をされておりますので、少数の会員だけでの聴講は本当に勿体ないことですし、研究診療等ご多忙の中を講義の準備をされる大学の先生方、さらには会場の設営や受付業務の労をとられる賛助会員の方々にもまことに申し訳のないことであります。何としても多数の会員にぜひご出席いただきたいと思いますし、多数の会員が出席して熱心に聴講してこそ生き生きとした素晴らしい研究会・研修会となり、それがさらに立派な会への発展に繋がるものと考えます。

出席者の少ない中で、偶々先日出席した臨床研究会は思いがけず盛会でした。これはこの時ご担当の賛助会長の方々が特に熱心に大学周辺の医療機関を訪問して研究会開催をPRして下さったお陰と知りました。さらにこの時は会場への交通の便の良かったことも幸いしたと思われます。やはり熱心な講演会の案内が一番ですので、機会がある場合は会場となる大学周辺地区の会員医療機関のリストを確認し、賛助会員Medical Representativesの方々に訪問を依頼するのが最善と思われます。ただし方法の詳細については、さらに賛助会員のご意見をうかがう必要があるでしょう。

また以上と平行して、内科医今事務局からも開催日直前に医会会長名でその地区の会員にFAXで出席依頼をお送りすれば、開催日時を失念されておられた会員があれば思い出していただき、出席となるかも知れません。かつて東京都医師会主催の学術講演会の講師-高名な大学教授でした-が講演の約束をすっかり失念され会場に姿を見せず、急ぎ連絡しましたが大学が遠い他県であったため時間的に間に合いませんでした。しかも演題が良かったため会場の安田ホールは超満員、担当者は真っ青になりました。座長が機転をきかして急遽講師の代役を務めて長時間講演され、辛うじてピンチを逃れることが出来ましたが、この時ほど事前確認の重要性を痛感したことはありませんでした。もちろんこの例とは異なりますが、直前の研究会出席依頼も、やはりある程度の効果が期待出来るものと思われます。

臨床研究会開催案内は現在立派なレジメが都内全会員約1,200名に毎回郵送されております。これは実に貴重な教材です。しかし会員の出席を促すためには、仮にA4判1枚の案内であっても演題と大学の主任教授のお名前が大きく印刷されてあれば、会員に理解されやすく、従って出席意欲を刺激するのではないかという考えもあります。そしてもしも案内が1枚程度で済めば、賛助会員の薬剤情報を数枚同封することもその協力に感謝する一法になるでしょう。また当番大学の外来診療担当医一覧表(これは通常A4判1枚、コピーで結構)も入手出来れば同封する。これは内科医会会員と大学病院との病診連携推進に役立ちたい気持からです。もとよりレジメの重要性は十分認識しておりますが、果たしてこれを全会員1,200名に送付すべきか、出席者にだけ配布すべきか、あるいは後で送付するか検討の余地かあるように思われます(いずれにしましても現代的にレジメはB5判よりA4判を望みたいものです)。

各大学のご好意にも内科医今は十分に応えるべきであると思います。平成5年以降医科大学にも大学医師会が続々と設立されました。東京では杏林大学以外すべてに医師会が出来ました。当時既に各大学の学長あるいは病院長クラスの先生方が、地区医師会及び地区医療機関との交流、主として患者紹介等を切望されておられるのを何回も経験しましたが、これも大学医師会設立に拍車をかけました。現在では病診連携は益々緊密になってきております。東京内科医会のために臨床研究会を開催して下さる大学は、診療研究等の実績を折角披露されるのですから、この機会にご自身をさらに積極的にPRされても良いのではないでしょうか。当日の出席者の中に、大学に紹介したい患者を持つ開業医がいるかも知れない、大学の力になってくれる医師がいるかもしれない、などとはお考えにならないのでしょうか。見ず知らずの開業医からたった1人の患者を紹介されただけで、直ちに外来診療担当医一覧表を送付して下さる病院や大学もあるのです。臨床研究会開催の大学が遠慮されておられるように思われてなりません。

外来診療担当医一覧表は前述のように研究会開催の案内に同封するのが理想的ですが、無理でしたら当日の出席者に1枚でも配布して欲しいものです。たった1枚のコピーでも大学に貴重な症例や多数の患者紹介をもたらすかも知れません。内科医会は大学のご意向ご要望をうかがい、出来るだけ協力してご厚情に応えたいと思います。

繰返しになりますが、臨床研究会は内容の濃いまことに素晴らしい研修会です。会員の皆様どうかご一緒に、この会の発展に努めようではありませんか。